小林直樹

F1やINDYなどに比べると、日本でWRCのことを知っている人は少ないんじゃないでしょうか。メディアも多いとは言えないし、その結果、魅力を伝えきれていないところがたくさんあります。
自然をフィールドにするWRCは、クローズド・サーキットを舞台とするモータースポーツに比べ、わかりにくいスポーツです。毎年、毎レースで写真を撮っている僕でさえ、必ず2日間はロケハンを行うほどですから。なぜかというと、たとえ毎年同じコースでレースが行われたとしても、季節や時間帯の違いによってガラリと状況が変ってしまうのです。だから僕らプロでも毎回ロケハンを行い、撮影ポイントを探さなければなりません。
実はここにWRC観戦の醍醐味の一つがあります。つまりお客さんも、”どこで見ればいいか”とロケハンをしながら、レースを楽しむことになるのです。自然を舞台にするWRCならではの魅力です。
とはいえ、いきなりレースの現場に出かけるのはハードルが高いかもしれません。そんなみなさんに、WRCとは、どんなコースで、どんなドライバーが、どんなマシンを使ってコンペティションを行っているかを知っていただこうと、「The Roads of the World」をスタートさせます。凍てつく氷の道から灼熱の砂道、美しい緑に囲まれた道から中世の街並みを駆け抜ける道まで。世界中を駆け巡るWRCの魅力に、触れていただければと思います。

Naoki Kobayashi

65年千葉県生まれ。サラリーマン時代の27歳の頃から、モータースポーツ撮影を始める。94年マカオGPをきっかけに脱サラをし、フリーランスとして活動開始。98年からWRCを全戦追いかける生活が始まり、現在に至る。
日本レース写真家協会(JRPA)会員

Media : ラリー専門誌「WRC PLUS」、WRC PLUS(イデア)など。